「声変わりの日」

「声変わりの日」は詩作ワークショップからなる展示作品である。

はじめに下記メモを示した。

0・紙に鉛筆で書く。
消しゴムを使わない。
1・自分が最も古く書いた、発した言葉
(日記、手紙、メモ、文章など持参してきてもらう。
忘れたら思い出す。)
2・最近の印象
このごろ感じていること。
3・自分が思い出せる 誰かの口癖をそのまま入れる
1と2と3の要素を書き出す。
何行目に配置しても良いので、一行から数行、詩として並
べる。
4・1と2と3の連なりから、連想(妄想?)される一行を書
く。
・(4で書いた行をふまえて全体を改造していく。=推敲)
・言葉を切る、改行するリズムはメロディではなく
自分の感覚に沿う。
・推敲している状態の紙も捨てない。
・推敲は複数のパターンを見比べないようにする。
紙の上には一本の川しか流れていない。
5・声に出してみる。
6・詩を持ち帰る。
7・いつかまた読む。

ワークショップ参加者の中高生 各自が自力で詩作を行った。
詩を書くには、自分自身にあったこと、起こってしまうこと、したいこと、自分本来のリズム感覚を全て抱えなくてはいけない。これを計算式と呼んでみたが、 ある者はいとも簡単に解き、ある者は問題自体を見失ったりもした。
あれこれ構えずに素直に書き出してみたら、すんなりと落ち着いて出来ていく場合がある。紙の上には多くの書き直しが 鉛筆で積もっていく。その線や塗り潰しのひとつひとつが詩には欠かせない。数々の思いの筆跡、文字以前の言葉と、文字になっているもの。 その行き来が詩作だ。
詩の朗読は個室でマイクの前に立ち合いながら行い、演じないようにとだけ話して読んでもらった。声にすることは、詩を解き放つ行為である。恥ずかしい気持ちは 詩を書くなかで自然な使命につながっていったと思う。その詩は自分で読むのが最も自然だと感じていくものだから。
個々の詩に題名は付けないようにした。一行目が題のようなもので、詩そのものを引っ張ってくれる。ワークショップと作品全てに「声変わりの日」という題を既に冠してある。
私自身にとって、この一連の行為を引っ張ってくれる一行目だった。
展示にあたって私が綴ったのは、詩に時刻と画を当てて、日を過ごすこと。
詩がもたらす良いときは、書き手も読み手も、みんな変わっていく。

概要

三重県立美術館「子どもアート in みえ」にて39名の中高生らと行ったワークショップ作品。わら半紙に鉛筆で、消しゴムを使わずに各々が詩を書く。方法は箇条書きにしたメモを呈示した。本人による詩の朗読を録音し、展示では紙の陳列と映像を伴って朗読を流す。映像は村田による撮影で、作られた詩編を聞きながら撮影。説明を避けた画面が続く。展示終了後、朗読をおさめた CD を作成しワークショップ参加者らへ配布した。

出品・企画展「子どもアート in みえ」
三重県立美術館
ワークショップ期間 2010年 8月3日 – 8月6日
展覧会期間 2011年 1月4日 – 2月13日
写真/藤井 昌美(展示風景)
Jin Murata/2011

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2018年6月7日