目の前にいる、まんまえの誰かと詩を届け合えるか?
という取り組みです。
誰かの言葉を、私の言葉にできるのか。
私の言葉は、誰かの言葉になるのか。
声、身振り、手振り、記号、あらゆる方法を試します。
そうして、詩にし合うワークショップです。
ワークショップ報告
『まんまえ投壜通信』は、詩人 村田 仁による 詩作ワークショップである。
清須市はるひ美術館での企画展『谷川俊太郎 絵本★百科展』の関連企画として行われた。
はじめに、村田の 詩『まんまえ投壜通信』が朗読された。
会場の一室には、新聞紙が広げられており、入り乱れてに床に敷かれている。村田はそれを「世間の荒波」と呼ぶ。今朝の各社新聞でだ。「世間の荒波」を囲むかたちでテーブルが並んでいて、壜が置いてある。
壜の形状は ばらばらで異なっていて、参加者は選んで机に向かう。それぞれが「世間の荒波」を囲んで向き合うかたちになる。
「投壜通信」とは「壜に手紙を入れて蓋をして、海に投げ、いつかどこかの誰かが読んでくれるだろうとするもの」。「詩」とは そういうものではないかと多くの人が書いてきた。
谷川俊太郎の詩『鳥羽 Ⅰ』(1995年)を村田が朗読。
参加者に「言葉」を紙に書き、壜に入れてくださいと指示をする。
紙を入れた壜は「世間の荒波」に投げ入れられた。
そして参加者が自ら、それぞれ誰かの壜を拾う。
自分の壜は拾わないように、そして誰の壜と詮索しないようにと村田が話す。その人は まんまえに居るかもしれないのは 皆 分かっているのを確認しあう。
谷川俊太郎の詩『みみをすます』(1982年)部分 8〜12行目 を村田が朗読。
何も書いていない 藁半紙が一枚配られる。
壜に入れられた手紙を取り出し、開いて読む。その言葉を引用した詩を それぞれが書く。
各自、書いた詩を朗読し発表しあう。意見を交わす。
壜の言葉は誰のものであったかは、話さない。
手紙をまた壜に戻してもらい、村田が壜を受け取った。詩人は「投壜通信」のコレクターになっていく。
参加者は 各々の詩を持ち帰る。
村田「谷川俊太郎の詩は、誰かに 確実に届くように書かれたものだと思う。だから私たちは安心する。その誰かが居ると信じること、誰もがその誰かになることを 私は新聞を広げて考えている。」
日時: 2023年 10月22日(日)
会場: 清須市立図書館 2階研修室
定員: 15名
企画: 清須市はるひ美術館 – 谷川俊太郎『絵本★百貨展』関連イベント
Jin Murata / Workshop / 2023